一番星の君へ

2001年8月7日。

獅子座流星群が大出現した日に君は生まれた。

その日から今日この瞬間に丸20年が経った。

 

 

20年、その長い人生の半分を彼は「アイドル」として生きてきた。大きな期待を受け、西の地で常に先頭に立ってきた君はいつでもわたしの一番星で、何気ない日々に輝きを与えてくれた。

 

 

 

 

君はよく「早く大人になりたい」と言っていた。

横に並ぶはずだった仲間と同じステージに立てず、その幕の陰で涙することが何度もあったと後に教えてくれた。

 

 

 

そんな君が最近言っていたことがある。

「ずっと大人になりたくて楽しみだったはずなのに、急にドキドキしてきた。10代でいたいなと思う自分も出てきたんです。10代のアイドルってなんかいいですよね。」

彼がこう思えるのは彼自身がかつてコンプレックスだった年齢を、自分で捉え方を変えてかけがえのないものに変えたからなのかなって思った。

 

 

ある時から自己紹介では名前の前に必ずその時の学年と年齢を言っていた。「10代のアイドルでいること」を彼自身が誇りに思っているみたいだった。そうやって君はいつでも器用にこなす人だった。そうやってここまでいろんなことを乗り越えて、「アイドル」でい続けていてくれたんだと思う。

 

 

そんな君が10代をあと2年残した頃、

「世代を代表した意見を発言できるようにしたい」

と言っていた直後に、国を上げたイベントの目玉となる企画の会議で文字通り若者世代を代表して意見する立場を全うすることになる。

 

 

 

君は高校を卒業した頃、君の大好きな人と考えた魔法の合言葉を突然言わなくなった。 

びっくりした。理由がはっきりと明かされることも無かったからなんで?って思った。そこにいる君は前と少し違うように見えて、なんだか遠くなったみたいで。 我儘だけど、寂しかった。

 

 

でも振り返ってみたら、ここでも君の器用さと優しさとが作用して「あと2年だよ。ここから大人になるカウントダウンが始まるよ。」って私たちへのメッセージだったのかなって思った。突然全てが変わった時に、私たちの寂しさが少しでも減るように。

 

 

 

時の流れに抗うことは出来ないし、永遠の10代なんて存在しない。誰よりも10代を恨んで、そして尊んで生きてきた君だからこそ、それを十分に分かっていて。私たちに段階を踏んで心の準備をさせてくれてるのかなって思うようにしてきた。

 

それからの2年間、君はそれまで見たことなかった色んな表情を見せてくれた。持ち前の武器を飛躍させて、最強の代名詞を手に入れた。それだけじゃ収まらなくて、今まで鉄壁のように守り続けてきた前髪を崩したヘアスタイリングをして「かわいいだけじゃない自分」も見せてくれた。

 

「今はかわいいよりかっこいいって言われたい」

 

いつでも有言実行な君のことがやっぱり好きだなって思える2年だった。

 

 

数え切れないほどのステージに立ってきた君の遂に10代最後のステージを見に行った。ほんの4時間前に、今までの君の全てが報われる瞬間が遂に訪れた。立場に気を遣ってなのか、人前で滅多に涙を見せてこなかった君が、その瞬間何かから解き放たれて、信じられないくらいに声をあげて泣きじゃくる姿を見て、この奇跡みたいなタイミングで、頑張ってきた君への神様からのプレゼントかなって思った。もちろん君がその糸を仲間と自らの手で手繰り寄せて、掴んだのだけれど。

 

真っ暗な闇の中から瞬く光みたいに登場した君は、眩しいくらいに煌めいて、美しく儚くて、強かった。

それまでと変わらないようにみえて、でもどこか肩の力が抜けたみたいに晴れやかだった。

これから続く長い道を進む覚悟を決めた、今までで1番強い君だった。

この先もずっと君についていきたいって改めて思えた。

君がアイドルでいる限りその姿を見続けたいと思った。

 

半分夢見心地のまま作った祝福の言葉を胸に抱えて、その瞬間の君を目に焼きつけた。

途中で、ほんの数メートル先にいた君がその文字に決意の眼差しを届けてくれたこと、忘れないからね。

 

 

最後の挨拶で「もっともっと皆さんの日常の助けになれるように、もっともっと全力で皆さんと一緒に頑張りたい」と言ってくれた君のキラキラした真っ直ぐなその目に、素晴らしい世界が映る未来でありますように。

 

 

 

君が20歳になる今日この日、

3年ぶりに一緒にステージでお祝い出来るね。

デビューへの切符という最高のお土産を手に帰ってきたホーム。

 

20歳の君はどんな姿を見せてくれるのかな。

ずっと髪を染めたいって言っていたから、今日ステージに立った君はもう髪を染めていたりして。

今すぐに向かうからね、待っててね。

 

君と、君を愛する全ての人にとって忘れられない素敵な時間になりますように。

 

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